有限会社鹿子商店・鹿子酒類卸株式会社初代社長であり、中興の祖である鹿子 彦三郎の残した訓辞

事業の経営にも色々の法則がある
私は次の三点を掲げたい

一. 愛情
人を愛する心である
愛は責任を生む。愛情による責任は無限の知恵と和の拡がりを作る
又責任は 誠実さと 努力を伴ふ、それは堅實な発展を意味する
人は出会いを大切にしなければならない
人は夫々 仏縁の中にある

二. 決断
日常の中に色々な決心がある 毎日が、決心の毎日である
それは積極性の中にあるといふ事である

日常が積極 且つ 誠実であれば
心が通ずる爲に人の共感を得て、協力が得られ、物事が成功し易い
併し経営者の決断は又違ふ 失敗は部下を不幸にする
積極的な日常の勉強や努力は「決断する」判断のためである
一生に三度は生死にかかわる決断をせねばならない
どうしても決断がつかぬ時がある それは度胸で乗り切れ
何もしないよりは上策である
一生に三度はあるぞ

三. 迅速
事を 有するには迅速でなければならない
物事にはすべて 秤がある 標準速度がある

標準以下では 価値が全く失われる事が多い 気をつけねばならない
スピードがあつてこそ障害が乗り越えられるのはスポーツだけではない
奇をねらふ事に 人の意表を衝く行動がある
それは案外 熟慮より 迅速な行動の先に成功がある
又 迅速と裏腹に意志の表示がある
部下への意志、考え方をよく伝達する事はグループのスピードアップに繋る

最後に愛情は和と責任を伴い、それは知恵と判断を要求する
無限の知恵と判断は 積極的な決断と迅速化を必要とする

成功とは 屈する事なく 辛抱強く 時の来たるを待つ事である
併しどうしてもうまく行かない 物事も多い
「禍転じて　福となす」心構えがなければ心が行き詰まる
成るも成らぬも自分の心の中にある事を知らねばならない